手を伸ばせば、届く距離まで。



やっと、俺の前に到着。


「ふーっ。キレイだよねぇ、桜」


「…うん。でも、今年で最後なんだよな」


思ったことを口にする。


すると華織は、驚いた顔をこちらに向けた。


「あ、そっか。あと1年もないんだよね」


…卒業。


俺は、きっと華織と同じ高校には行けないだろう。


華織には、音楽家という夢があるのだから。



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