手を伸ばせば、届く距離まで。
「受けて立つ。香島圭」
「負けない。佐原真樹」
ライバル、恋敵。捉え方はいろいろ。
燃えるようで、怖いようで、悲しいようで。
告白しても、結果は分かってるのにな。
でも―――最後。
君を想うのは、これで最後にするから。
終止符を打とう。
俺の、初恋に―――。
「…じゃあ、俺行くから」
チャイムが鳴り、久野は立ち去った。
その背中が、どことなく寂しそうだったのはなぜだろう。