手を伸ばせば、届く距離まで。



――――――



「どうだったぁー」


「まじ分かんねえ…受験大丈夫かな~」


喧騒に耳をすませる。


俺はまだ、シャーペンを握りしめたままだった。


…大丈夫。


手ごたえはあった。あれだけ勉強したんだ。


毎回、成績は1位から5位を保っている。


真樹は…少なくとも20位は、差がついている。


俺、ずるかったかな。


でも真樹は、全力を出すと誰にも負けない男だ。


油断なんて出来ない。



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