手を伸ばせば、届く距離まで。



「真樹と、一緒じゃなかったのか」


華織はボサッとなった髪を、軽く手ぐしで直す。


雑な性格も、俺似。


「うーん。一緒にいる必要もないしね。帰りに話すネタもなくなっちゃう」


華織の笑いにつられて、俺も笑った。


華織は、人を笑顔にさせるのが上手い。


「あ、でも今日は…」


「?」


上目遣いに、なぜか華織が見上げてくる。


…え?



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