手を伸ばせば、届く距離まで。



「でもあたしも、前回6位だったし。勝つよ、きっと」


「…あ、ああ…」


そう、か。なぜ今気づいたのだろう。


真樹は、華織のために順位を上げたんだ。


同じ高校を…めざすために。


真樹も本気だ。


勝負が、分からない糸で、もつれていく感じがする。


みんな一人なんだ。


自分の実力が、試されるときだ。


―――負けない。


負けないためには、俺自身が一位になるしかない。



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