手を伸ばせば、届く距離まで。



ギクッと背筋が凍るのもつかの間、真樹は“華織を引き寄せていた”。



「ちょ、真樹―――」


やわらかく。


引き寄せた華織の頬に、真樹は唇をつけた。


―――ズキンッ


針が刺されたかのように、痛い。


真樹―――何を、考えてるんだよ?


「ばかまきっ!!消えろ変態!滅びろ男!」


―――ダァンッ!


………………。


拍子抜けしたような、まだ胸がもやもやするような。



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