手を伸ばせば、届く距離まで。



真樹が突然きたのだ。


俺と華織の“糸”に絡まるようにして、真樹が。


絡まり絡まり、結局誰かが切られる。


それは俺のはずなのに、どこかで「もしかしたら」と、期待を抱いてしまう。



空き教室で真樹は、大きく息を吸った。


言う。



「―――俺は、圭の告白が成功したら、華織とも圭とも、友達をやめるよ」



―――。


肌寒い風が、せつない音と共に吹いていた。



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