手を伸ばせば、届く距離まで。



俺は心のどこかで期待していた。



華織とも真樹とも、俺が欲しいものなんだ。


“恋人”と“親友”。


心のどこかで、理想が現実になってくれるのを望んでいた。



「………え?」


「だけど、華織が断ったら、圭が俺たちと離れてくれ」



声が出なかった。息が止まった。


どんな感情か、認識することも出来ない。


ただ、ぽっかり。


真っ白な紙が、頭に浮かんだ



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