手を伸ばせば、届く距離まで。
息をのんで、なるべく優しい声に切り換えた。
いつもの声は『感情がない』と言われがちだし。
なるべくは、華織にそう思われたくない。
「どうした?」
《あたし…つらすぎて、死にそうなの》
「死!?」
《もう、そんな真に受けないで…なんかこう、心が壊れそうなの》
あ、ああ…びっくりした。
《…あたし、真樹に悪くて》
華織は強かった。
けど、今きっと泣きたいんだろう、と察することができた。