手を伸ばせば、届く距離まで。



唇をかみ締めて、涙をこらえる華織。


今度は俺が、華織を守ってやる番だ。


「…けい…」


抱きしめた。


すると、すぐに華織は泣き出した。


予鈴が聴こえる。


だけど、華織はこの音を聴かなくていい。


そっと、華織の耳をふさいだ


「……俺がいる。だから、一人で悩むな」


小さく華織は「うん」とつぶやいた。



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