手を伸ばせば、届く距離まで。



「…せんせー」


「もうっ!栗原、また痛みを見てたんでしょ!あれほど程々にと…」


これだけ強烈な医務教師を、俺は初めて見た。


てか、栗原?誰なんだ、栗原って。


「ごめんなさい。彼は“ああいう体質”でね。しょっちゅうなのよ」


「…この人、誰なんです?」


「あら、知らないの?」


ポカンと口を開ける教師。


唐突に、口の中に唐辛子を入れてやりたい気になる。



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