手を伸ばせば、届く距離まで。



ベッドから起き上がる。


さっきの少年が遠ざかったためか、苦しみはもうない。


ただ―――


「やっぱり貴女は、安らぎの心だけを持っている」


「…なっ…!」


温かい気持ちが、この医務教師から流れてくる。


「はー…さすが医務教師」


「…あんた見てると、何か安心するからね」


少し照れたように、二人して笑った。



【保健室side終幕】

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