手を伸ばせば、届く距離まで。



俺が好きだった華織を、真樹は知っていて好きになった。


どれだけつらかったか、俺にもわかる。


届かなくても、手を伸ばしてしまうんだ。


一瞬の愛だけでも、と。


それだけでも叶わないと、知っていても。


「俺は、恋なんか分からねえけどさ」


…久野


「真樹にはそれがすべてだった。何もかもを捨てて、華織ちゃんだけを求めたんだろ」



……………。



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