手を伸ばせば、届く距離まで。



たまらなくなったのは、俺だった。


「…圭!」


「……………」


家の中はひどかった。


異臭、溜まったゴミ、しわだらけの洗濯物。


生活感はまったくない。


ダイニングは食べ物と、どうにかして洗った食器。


コンビニ弁当もいくつかある


「…真樹」


どうして。


なんで一人で、抱え込んでしまうんだよ。


頼れよ


悲しいに決まってるだろ―――。



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