手を伸ばせば、届く距離まで。



「あああああああ!!」


「圭」


―――!!


するり。


女の人にひっつかんだ手を、自然に離した。


「…ま、き…」


あ…


俺、何やってたんだっけ。


「圭。何しにきた」


「テメー、圭にそんな言い方すんじゃねえ」


「ハッ」


鼻で笑い、真樹は近づく。


俺は自然と後ずさった。


怖い。


真樹が、とても怖い。



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