手を伸ばせば、届く距離まで。



久野、冴子(さえこ)さん。


この人は名前のとおり、久野望くんのお母さんだ。


俺は、知りたかった。


「“あの子”というのは、香島圭くんですか?」


「あら。ご存知なんですか」


紅茶を傾ける。


悩んでいる真樹くんに、苦しみと痛みを抱えた久野くん。


そして―――


その中心にいる、まだ面識のない香島圭くんを。



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