手を伸ばせば、届く距離まで。



あんなにめんどくさがりのような、久野くんが…


「何か言ってましたか?久野くん」


「何だか大変そうに『あの馬鹿』と言ってましたねえ…」


そして冴子さんはぽつりと


「自転車壊さなきゃ良いんですけど、たぶん無理ですわね」


とつぶやいて笑った。


…嫌な予感。


まだ香島くんがよく分かってないが、とりあえずやばいな。


「…美味しかったです。ありがとうございました、失礼します」



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