手を伸ばせば、届く距離まで。



「ハイ。ここだから」


「ふん、金もつくれないガキよりマシだわ。出て行くから」


けっ。出ていけ出ていけ。


メモを奪って、だいたいの荷物を放り込んで


出る準備を始める女。


久野はこっそりと言った。



「あれ、刑事で係長さんの自宅のメモなんだ。

 その人、相当な世話焼きなんだぜ。

 更正しない人間は、まずいない」



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