手を伸ばせば、届く距離まで。



ああ、今分かってしまった。


この能力を持ったのは、彼からの罰だったんだ。


“思い知れ”


彼は、そんな恨みを残して亡くなったのだろうか。


俺は━━━。



━━━…



「開いてる」


カチャンという音に、現実に引き戻された。


華織ちゃんが不思議そうな顔をしている。


扉が開いていた。


「…本当だ」



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