手を伸ばせば、届く距離まで。



「―――っ」


痛い。


吐き気がするような、キリキリとした痛み。


―――いやでも


「…なんだこれ…」


透明な、なだらかな川みたいな心地よい流れ。


痛みと、癒し。


明里さんとは違う。あの人は和みだ。


とにかく初めて感じる部類。


リビング奥には、3人の人影があった。


「真樹に、久野くんに、…あれが、圭です」


…久野くん?


あの苦しみは、ないのに…



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