手を伸ばせば、届く距離まで。



ふと横を見た。華織がいる。


華織は照れ臭そうに笑って、コクンと頷いた。


「圭には出来る。あたしや、久野くんや、真樹を導いてくれたから」


「…華織」


「圭だけが持っているもの。それは、きっと綺麗で澄んだ心よ」


視界がぼやけた。


気がついたら、泣いていた。最近泣き虫だとか思う。


しかし反対の横を向くと、真樹もシャツで目を拭いていた。



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