手を伸ばせば、届く距離まで。



「…ありがとう。ありがとう、圭。」


ポツリ。


つぶやかれた真樹の言葉に、いよいよ涙が止まらなくなる。


「真樹…っお前、な」


「何だよ…!」


「泣くんだな、真樹も…っ」


うるせえよ、と真樹の唇だけが動いた。


俺も声が、嗚咽に邪魔され出せなくなった。


ただ泣く。


似通った親友のように、俺と真樹はひたすら泣いていた。



< 327 / 557 >

この作品をシェア

pagetop