手を伸ばせば、届く距離まで。



――――――▼久野side.



ウトウトしているようなのでコーヒーを買い、俺はそれを差し出した。


すると栗原は眠そうに


「生徒からおごりだなんて…我羞恥に恥ず」


とか意味不明な当て語をつぶやいていた。


俺は軽く舌打ちをすると、自分のココアの缶も開けた。


温かく、うっすらと肌寒い春の夕暮れにはちょうど良い。



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