手を伸ばせば、届く距離まで。



しばらく黙っていた栗原は、遠くの夕日を見ながら言った。


「…僕は、人を死に追い詰めた事がある」


「…は?」


訝しい。


俺は栗原の横顔を、じっと見て聞き入る。


「俺の家は真樹くんみたいでさ。ある事を起こしてしまって、彼は自殺してしまったんだ」


…矛盾してる



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