手を伸ばせば、届く距離まで。



栗原は、諦めたような笑顔で空笑いした。


もっと気に食わなくなった。


「…僕は、これ意外に出来る事なんてないから…」


「だとしたら、もう罪滅ぼしは終わってる。栗原は人を助けた。充分じゃないか」


「…人の命は」


鋭い瞳。


思わず俺は、言葉を呑み込んで見返した。


人の命は…



「何にでも、代えることなんて出来ないんだよ」



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