手を伸ばせば、届く距離まで。



―――っ。


ぐうの音も出ないとは、まさにこの事だ。


鋭い。胸に突き刺さった感じがする。


すると栗原は、胸に手を押し当てた。


あ―――俺の、痛みだ。


「…この能力があるのは、彼が自殺したからだ。彼が感じた痛みを、俺も知らなきゃ…」


「痛くなんてねえよ!!!」


何だよ。めちゃくちゃイラつく。


言葉とかめんどくせえ、全部感覚で伝えられたら良いのに。くそっ



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