手を伸ばせば、届く距離まで。



すると静かに、俺に向かって真樹は泣き笑いした。


たぶん『スッキリした』と言っているんだと思う。


いつまで経っても、真樹は真樹なんだ。


無邪気で、明るいアホっぽい男子。


そして時に一途で、人に優しい。


真樹、ありがとう。


俺に告白するチャンスをくれて。譲ってくれて。


おまけに、友情もそのままにしてくれて。


感無量で言葉も出ないけど、必死に心でそう言い続けた。



< 343 / 557 >

この作品をシェア

pagetop