手を伸ばせば、届く距離まで。



――――――


「もうダメだ、遅刻だ。諦めようぜ!」


「何言ってんの。受験生なんだから、遅刻も欠席も命取りなんだから」


「そうだよ真樹。走れ!」


「一番遅く走ってる圭に言われたくねえわ!!」


運動なんて嫌いなんだよ!


半泣きで真樹を睨みつける。しかし効果はなかった。


真樹の家の騒ぎで、すっかり油断していた。


何も考えていなかったのだ。



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