手を伸ばせば、届く距離まで。



ただ時たま、首に掛けたロザリオを握りしめている。


小さな体にしたら不釣り合いな、大きな十字架。


愛桜ちゃんには、相当大事な物らしい。


にしても…


「わたし一人で充分なのに。ちゃんと中学校へ連れていくんだろうな?」


この口、どうにかならないものだろうか。


全く可愛げのない、武将みたいな言い方だ。



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