手を伸ばせば、届く距離まで。



――――――



「…あれ?華織、食べないのか?」


ギクッ、と華織の肩がふるえる。


華織は最近、給食のパンを残して持ち帰るようになった。


それを、俺と真樹は目撃しているのである。


「ん。ちょっと、ね」


「ダイエットか?華織は充分細いし…」


「違うの。違う、から」


真樹の気遣いに、頑固華織は否定する。



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