手を伸ばせば、届く距離まで。



「教師になったら、ぜひ僕に会いに来てくれ。あー、それ以外の職業でも」


「…縁があったらな」


「きっとある。また、会える。二つ目の自分を見つけて」


笑う栗原は、本当にまぶしかった。


こんな先生になれるのだとしたら…教師も悪くない。


「…じゃあね」


栗原みたいな、優しい人間に、なれるのなら。


「―――ありがとう、栗原先生」


栗原はまた、笑った。



【久野side終幕】

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