手を伸ばせば、届く距離まで。



「真樹。はやく乗ろう」


温かな華織の笑顔に、思わず顔を伏せた。


…やばいな、泣きそう。


「あたしは後ろに乗るから、真樹と圭は二人で前ね」


「げっ、一番前!?」


「圭は文句言わないのー!」


俺は顔を上げた。


二人が、どこか幸せそうに口喧嘩をしている。


やっぱり、二人は幸せになるべき恋人なんだな、と思った。



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