手を伸ばせば、届く距離まで。



「…嘘だろ?俺はだって、もう、やめた…」


涙。


その気配が、真樹から伝わってくる。


だから余計、俺の疑問は確信へと変わっていった。


「真樹。好きになる、っていうのは、簡単に断ち切れるものじゃないんだ」


知らなかったんだろう。


そう。真樹は、何もかも幼いままで、知らないまま。



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