手を伸ばせば、届く距離まで。



ああ、と思い出す。


華織がボロボロになった体で、俺に言っていた言葉。


『きらいだって』


『それでも、たすけちゃうんだよ』


無表情な顔に流れた、透明な純粋な華織の心。


俺は、それから解放してあげるすべを、知っていたんだなあ



「―――愛してる、華織」



一番近くに、あったんだな。


またこれも遠回り。


けれど、出会えたその軌跡が美しい。



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