手を伸ばせば、届く距離まで。



「とうさん……!!」




―――時が


止まっていた、この家の時間が動き出した。


この家も、俺も、待っていた


ずっとずっと、待っていた。


家族。失った愛。


「真樹…ありがとう。迎えが遅くなって、ごめんなぁ」


…俺は、父さんを憎んでた。


けど本当は、明るく帰りを待っていれば良かったんだ。


“おかえり、父さん”



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