手を伸ばせば、届く距離まで。



だから俺は、引き止めず背中を押す。


後悔するな。


進め、振り向かずに。


ちゃんと俺らは、繋がっていられるのだから。


「…華織」


息を吐く。


また吸うと、冷気に思わずむせかえった。


…運命の日だ。


俺と、華織、真樹、久野、…


別れの時。


行く高校は同じでも、“中学の俺ら”とは、さよならだ。



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