手を伸ばせば、届く距離まで。



「…また、どこかで」


小さくつぶやく。


ざく、と音を立てながら、雪道を歩き出した。


祈る。


ただただ、祈る。


―――俺らに、幸あれ。


ぎゅうっと握りしめた手は、寒さで赤くなった。


しかし、涙を堪えきれない。


緊張と、期待と、不安と、寂しさ。


それでも俺は、進んだ。


決めたんだ。決めたんだ。決めたんだ!


俺は―――強くなる、って。



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