手を伸ばせば、届く距離まで。



「…けど」


ぽん、と愛桜の頭に手を置いた。


悲しげでも、満足したような愛桜の目がこちらを向く。



「忘れなくて良いよ、その気持ち」



愛桜の揺れる瞳に、ふと浮かんだのは


―――華織と圭が、幸せに笑合ってる光景。


…良いんだ


幸せなら、良いんだ


俺に、家族という幸せをくれたのだから


…心から、祝福できるよ


幸せになれ、圭、華織。



【真樹side終幕】

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