手を伸ばせば、届く距離まで。



――――――


「へえ。やっぱ可愛いなあ」


携帯を覗き込みながら、感心したように久野が言う。


画面には、にたりと笑った悠生の写メ。


カメラを向けると、この顔しかしてくれないのだ。


「悠生かー。あれだろ、栗原から取っただろ」


「まあ、悠の字を華織が気に入ってて。生、は俺」


「何で?」


「生きて欲しいから」


笑われた。な、何か悔しい…



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