手を伸ばせば、届く距離まで。



反論を述べようとして、久野が口を開いた。


「いやー、お前らしいよ。ん。“当たり前”を大切に思う所とか」


「………そ」


そう、かな。純粋に付けたんだけど…。


「で?悠生くんは今どうしてんの?」


「今日は華織がいないから、シッターを頼んだよ」


「シッター?」久野が訝しげに眉を寄せる。



―――キーンコーン…



「あ、やっべ。行くか」


「ああ」



…動き出した、歯車…



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