手を伸ばせば、届く距離まで。



簡素なこの家には、写真が大切に飾られていた。


結婚写真はもちろん、


中学時代のものや、悠生の産まれた時のものなど。


思わず


「幸せそうで、何よりだわ」


とつぶやいてしまうくらい、素敵な写真ばかりだ。


「…さて」


シッターは、外出の衣服を羽織り、意気込んだ。


悠生の口元を拭き、ジャンパーを着せる。


後は、家を出て散歩だ。



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