手を伸ばせば、届く距離まで。



柔らかな5月の快晴に目を細める。


日傘を差して、何の危険も感じずに悠生の手を引いた。


「パパもママも、お留守だからね」


悠生は不思議そうに、辺りを見渡していた。


そして、道路に差しかかる。


ああ、とシッターは悠生から目を離して、上を見た。


「神崎企業、ねえ」



―――その瞬間。




< 495 / 557 >

この作品をシェア

pagetop