手を伸ばせば、届く距離まで。



ぼーっと考えていると、華織がしぼしぼ顔を引く。


…あ、もしかして無視みたいになってた?


「…あの、華織」


「ハイッ!?」


声がひっくり返ってる。


あわてて引っ込み、また上目遣いで「何?」。


俺は、決めていた“選択”を、華織に打ち明けた。



「今日。夕飯、作りに行くから」



真樹に悪い。


けれど…華織を、見放すことも何も出来ないんだ。


俺、“意気地無しだから”。



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