手を伸ばせば、届く距離まで。



最期に、唇だけが『先輩』と動いた。


俺が呼び、やっと返事をした瞬間。


機械音がこびりつく。


なあ、橘…


死んだら、一体どこへ行くんだ?


俺…会いに行くから


どこだ?どこかに、いるんだろう?笑う橘が―――。



「うわあああああぁぁ……!!」



いなくなるだなんて、消えてしまうだなんて、


考えられないに決まってるだろ―――……



【真樹side終幕】


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