手を伸ばせば、届く距離まで。



「はぁ……」


息をつく。


目を背けて、曲がり角に身を隠し座り込んだ。


二人は、画になるほど似合う


俺なんか、及ばない


譲ってしまった方が幸せなんだろう、と思った。


しかし、ベンチの上で眠る悠生を見て、一変する。



―――悠生が、いるんだ



俺たちが愛し合った証が、確かに生きているんだ。


見捨てることなんか、出来ない。



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