手を伸ばせば、届く距離まで。



俺は動いていた。


転ぶように走り、真樹と華織の目の前で座り、頭を下げた。


二人は離れ、華織が不安にかき乱れた顔で見つめている。


真樹は、呆然と空虚を見るようにこちらに目をやっていた。


言う。



「―――本当に、申し訳ない…!どうやって償えば良いか、分からない…。


 真樹、怒ってるよな。
 いつも、いつもごめん。真樹には、幸せになって欲しいのに―――。」



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