手を伸ばせば、届く距離まで。



すると、真樹が


「あ……」


自らの手を、伸ばした。


その手は悠生を抱き、弱々しく真樹の胸元に抱かれる。


…どうしたのだろう…


俺と華織は、ただ見守った。


直後、



「…生きてる…」



真樹の瞳から、希望の涙。


悠生は「うー」と、真樹のネクタイを握っていた。


生き…て、る?



< 539 / 557 >

この作品をシェア

pagetop