手を伸ばせば、届く距離まで。



そうか。


俺、初めて自分を主張したのか。


「良いんだよ。自分を出して、悪いことなんかない」


ざり、ざり。


二人の足音の速度が、だんだんと落ちていく。


…真樹が、待ってるのに。


俺はいつもより、『心地良い』と思った。


「…ありがとう。」


これだけしか、言えなくてゴメン。


でも…きっと、伝わるはず。


『ありがとう、華織』


溢れる、感謝の“心”。



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