手を伸ばせば、届く距離まで。



真樹は神崎を一瞥し、また顔をうつむかせる。


真樹は前に、こう言った。


『精一杯泣いて、後は精一杯生きる』


そして、絶対に橘を忘れない


だから真樹は、この葬儀の日が終われば、ちゃんと元気になる。


俺はそう信じている。


神崎は、ふわりと笑って真樹の前に座った。


「真樹、だな」



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