手を伸ばせば、届く距離まで。
□波乱の手前
――――――▼真樹Side.
木の陰にひそんでいた。
楽しそうな二人の談笑が聴こえた。
遠慮がちなあいつに触れられ、華織は幸せそうに笑った。
すべてが、崩れる。
やっと手に入れた、俺だけのカノジョ。
「…やっぱり、好きなのは」
俺なんかじゃない。
圭に、勝つことなんて出来ない。
あいつは―――一番、太陽に近い場所にいるのだから。
「………………。」
ぐずる。
それでも、負けるな、俺。
【真樹Side終幕】